12月26日新聞
休眠預金活用へ議員立法 超党派議連、通常国会提出へ(朝日新聞朝刊)
本日の朝日新聞(朝刊)において、休眠預金についての記事が掲載されましたので、転載いたします。通常国会での提出が実現するように、頑張っていきます!
12月26日新聞
12月26日雑誌
預金保険料下げ、来年度にも 預保機構検討、銀行の負担減へ民間金融機関が破綻(はたん)に備えて積み立てている預金保険の料率(現在0・084%)について、預金保険機構が2015年度から引き下げる方向で検討に入った。金融危機が一段落し、順調に積立金が増えているため。率を0・04~0・05%に引き下げる案が有力だ。▼8面=金融機関の思惑は預金保険機構が7月から非公開の検討会で議論している。年内にも結論をまとめ、金融庁などに認可を申請する方針。率自体が引き下げられれば、預金保険制度の始まった1971年以降で初めてとなる。預金保険は、銀行などがつぶれた時に預金者が困らないよう、各金融機関が預金残高の一定割合を預金保険機構に積み立てる制度。大手金融機関の破綻が相次いだ90年代、積立金は足りなくなり、料率を0・012%から現在の0・084%まで大幅に引き上げた。その後、金融機関全体の経営が安定し、目立った破綻も11年以降はなく、業界から引き下げを求める声が強まっていた。12年度からは、破綻が1年間なければ、0・014%分を後で返す仕組みを導入している。現在、業界全体で毎年度約6千億円の保険料を納めている。料率が0・01%分下がるたびに、負担は900億円近く軽くなる計算だ。業界は0・04%台にするよう主張している。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー銀行、資本増で体力強化へ 預金保険料率引き下げ検討初めての引き下げが検討されている預金保険料率は、1990年代の金融危機への対応で、現在の0・084%まで一気に7倍に引き上げられた。引き下げが実現すれば、金融危機を脱してシステムが安定を取り戻したことを示す象徴的な出来事ともいえる。▼1面参照預金保険制度ができたのは71年。当時の預金保険料率は0・006%と今より桁が一つ小さかった。しかし、バブルが崩壊し、90年代以降の金融危機で、大手金融機関のはたんが相次いだ。預金保険機構(預保)の払い出しがかさみ、料率を96年度に0・012%から一気に7倍に増やして対応。その時の危機対応の数字が、今まで続いている。この時期、預保は預金の保護だけでなく、特別公的管理(一時国有化)の日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の処理や、金融機関から株式の購入や債券の引き受けなどによる資本増強などにも取り組み、金融安定化に尽力。やがて金融危機は沈静化し、02年度に4兆円も不足していた積立金も、10年度には積み立て不足が解消し、13年度には1兆6880億円まで増えた。今年度は2兆円を超えると見られる。3年前にも預保は調査会を立ち上げ、預金保険料率の引き下げを議論した。この時は、14年度までは現状維持とすることになった。「料率の引き下げは悲願。引き下げてこそ、金融危機を名実ともに脱したと言えるのでは」と、ある銀行幹部は言う。銀行は払わなくてすんだお金を、自己資本などにあてる考えで、預金利率の引き上げなどで預金者に回す可能性は低い。「預金保険料は大きな負担になっている」(メガバンク首脳)。国際的に金融機関の経営の健全性を保つための規制が強まるなどし、経営環境の変化への対応に力を注ぎたいためだ。
10月21日独自記事
休眠口座資金を活用した社会的事業への支援等の検討銀行などにある休眠口座の資金を、預金者の権利を侵害することなく、NPOや社会的事業の支援等に活用するための仕組みを検討します。行政による補金や民間金融といった既存の資金では対応しきれない社会的課題分野に活することをめざします。活用にあたっては、特定地域や大都市だけに集中しいよう配慮も必要と考えます。
10月17日独自記事
僕が呼びかけ人の1人となっている「休眠口座国民会議」の一員として、超党派の休眠預金活用推進議員連盟の方々(古川元久議員・山本ともひろ議員・坂井学議員)に要望書を提出しました。この要望書は、同じく呼びかけ人の鵜尾雅隆氏が全国でシンポジウムを開き、NPO・非営利セクターの人々と対話し、そこで頂いた意見や要望が盛り込まれたものとなっています。そして要望書では、休眠預金活用の早期実現を求めると共に、「ここは外さないで」という大切なポイントを記しました。11月末まで開催されている臨時国会での法案提出を、休眠口座国民会議一同、強く願っています。そして休眠預金が社会課題の解決に資するように活用されていくよう、超党派議連の皆さんの動きをサポートしていきたいと思います。★10年間使われないと、銀行口座は「休眠口座」になります。そこにある休眠預金は毎年800億円生まれ、銀行の雑収入になります。これを、いつでも返還に応じるよう権利を保護しながら、永久に休眠する一部資金を、社会的に厳しい環境に置かれた人々のサポートや、社会課題の解決にために使っていこう、というアイディアを仲間と共に推進しています。(続きを読む)
アダム・スミスの「国富論」に書かれた「見えざる手」をもじった「市場の見えざる心」がキーワードになった報告書が、15日に発表された。主要8カ国(G8)の政府関係者や金融、社会貢献活動の専門家らが1年かけてまとめたものだ。貧困や教育、福祉など社会的な課題を解決する「インパクト投資」の促進を提言した。投資することで社会に良い変化を起こすのがインパクト投資。報告書には、障害者雇用を生み出したIT企業や、低所得者が多い地域に健康食を提供するNPOなど、持続的に収益を上げている「社会的企業」が多く紹介されている。そこに投資を振り向けよう、というのだ。日本でも取り組みは始まっている。「ワクチン債」が2008年に国内で売り出された。予防接種事業に資金提供する国際機関が発行する債券だ。途上国の子どもへのワクチン接種を支援する資金を調達、加盟各国の寄付金を返済にあてる仕組みだ。他にも「グリーン・ボンド(債券)」「ウオーター・ボンド」「中南米子育て支援債」といった地球温暖化対策や水関連事業、貧困対策への投資資金を集めている。こうした「インパクト投資」債券の販売額は、日本で累計1兆円(14年3月末)に上る。60%のシェアを持ちトップの大和証券は「社会貢献に関心のあるお客さんが買っており、新しい顧客層を開拓した」(広報部)という。投資利回りが特別高いわけではないが、その効果への魅力が投資判断となっている。投資するか否かの判断は、利回りが高いかどうかという財務的リターンの多寡が基本ではある。それぞれの投資家が利益を追求すれば、市場の「見えざる手」が働き、社会全体も望ましい状況になるのであれば、財務的リターンだけを考えて投資すれば良いのかも知れない。だが世界を見渡せば、アフリカなどの貧困国はそこからなかなか抜け出せず、先進国でも格差が広がる現実がある。そこに社会を良くしたいという投資家の「見えざる心」を持ち込めば市場の失敗を防ぐことができるのではないかという思いが、冒頭の報告書にはにじんでいる。報告書づくりに関わった伊藤健・慶応大学特任助教は「財務的なリスクとリターンに加えて、社会的な影響、インパクトがどのくらいあるのかという社会的リターンを総合的に見極める投資判断が今こそ必要だ」と指摘する。欧米で「21世紀の資本論」(トマ・ピケティ)がベストセラーになるなど、格差拡大をもたらした現代の資本主義の未来に悲観論が漂っている。「良き社会へ」と願う投資家が増えることが、その救いにはならないか。(やすいたかゆき 編集委員)